「あぁ〜遅っそいよ〜」
最初は何のことか分からなかったが、順番待ちの子ども達に必死に飴をつくる自分にこの自転車の男の子は言ってるらしい。スピードは確かに遅いけど1個1個丁寧につくりたい。『つくる方は百個でもお客さんには一個』と何かの職人が言ってたのだ。男の子は「遅いよ遅いよ〜」と何度も言ってる。順番の列を何とかこなしながらちょっとその子を気にしていたら何となく理由がわかってきた。何か習い事があるらしい。もう行く時間で待っていられないようだ。さっきからずっと自転車にまたがったまんまだし声も泣きそうな調子になってきた。「遅いよ〜」もそんな状況に言ってるのだ。

「間に合うかな?えっと次の子は白のウサギとゾウ青ねっ」とやってるうちにその子のことはすっかり忘れてしまった。なにしろ余裕が無い。「今日はスイミングの日だけど急いで自転車で買いに来れば間に合う!」なんて子もいるが、急いで事故なんか遭わないでおくれよ。またいつかどっかで会えるよ。

 

ゾウはなんと言っても大きい鼻。思いっきり鼻にボリュームをもって行き過ぎてそれだけっていう失敗を何度か繰り返してうまいことバランスが取れるようになった。鼻→耳→手足→しっぽの順でつくっていくが、耳のつくり方に新テクニック。挟んだ飴をぎゅっと横に引っ張り出して指でつぶして広く平らにする。左右バランスよく出来ればあとは太目の手足とかわいい尻尾をつけて出来上がり。

よっしゃ王様級の動物ゾウを覚えたぞ。でも百獣の王はライオンか? いやいや優しい強さの方が好きなのだ。