ツルの巻

ツルの飴画像

あれがいけなかった。
はじめてつくったツルが売れたのが。小学生の男の子が(周りの子達にとられないうちにと) 「それちょうだい!」 と言うもんだから、「えっ、こんなんでいいの?」 と思いながら、でも我先にGETしようとしてる男の子が嬉しくてつい 「はい、ありがとう」 とあげてしまった。その後はもう次々とつくらなくちゃならなくなって、ほんとは買ってくれた男の子がその場ですぐツルを食べちゃうのか、それとも持って帰るのか、自分の第一号ツルの行方を見届けたい気がしたがそれもできず、飴細工師第一日目は忙しく終わった。

あの日から2ヵ月、飴細工はやめられない。

ツルのつくり方は何回も見て、実際やってみる前から'コツ'みたいなものを掴んでいた。できたらこのツルを一番最初につくれるようになりたかったのだ。コツは首を最初から上に引っ張らないでことだ。一度横に持っていかないと腹→胸→首のふっくらしたラインができない。そして適度に固まりかけた頃に首をもたげて今度は首→頭→嘴の曲線をつくるという具合。

しばらくはこれができるだけで嬉しくてツルばっかり何十個もつくっていたが、そのうちふと手元にあるハサミに気がついた。まだ一度も使ってない… そうツルはハサミを一回も使わないで出来てしまうのだ。それはそれで凄いことなんだが、やっぱり飴細工はハサミでちょっきんちょっきんとやらないと。早くそういうの覚えよう。


小鳥の巻

小鳥の飴画像

「ツル3つちょうだい」
大抵みんな1個づつ買っていくのが普通なのに、一人で3個も買うとはリッチな女の子だ。「しかし何で3つともツルなんだ?」 とは言えた身ではない。今はツルと覚えたての小鳥の2種類しかつくれない。小鳥もつくってるけど、子供達には見た目の大きいツルの方が人気だ。(飴の量は一緒だけどね)。小鳥は小鳥、小さくつくんなきゃ似ないという考えでは2種類目にして不人気シリーズだな。これではせっかく覚えた'ちょっきんハサミ飴細工職人技'も日の目を見ないではないか。大きくても小鳥に見えるようにしよう。

なんて考えながら、ちょうど色粉も3色だから赤・青・黄色の3羽のツルをその時つくった。ひょっとして3人姉妹なのかな? 子ども等は飴の大きさにはとてもシビアだ。自分のつくった飴が原因でケンカにでもなったら困るな。大きさが揃うよう気をつけてつくった。

小鳥はツル同様最初に手でグニャッとやるが、そのあと待ってましたハサミでちょっきんちょっきん、それから切っちゃわないで線だけつけるハサミも尾っぽに入れて出来上がり。簡単でもハサミを使ってるので飴細工師度が上がってきたぞ。

練習でツル・小鳥・ツル・小鳥・ツル…とやっていたら周りが鳥の飴だらけになってきた。でもいいのだ。そもそも飴細工は鳥をつくっていたのが初期の姿らしいから、進み方としてはとても正しい。そのうち他の動物達も覚えるさ。今はたくさんの飴のツル・小鳥たちにとり囲まれてさらに仲間をつくるのがハッピー。


うさぎの巻

うさぎの飴画像

いよいよ動物一般の世界に足を踏み出したぞ。うさぎ。鳥類だけやってれば良かったか。それにしたって何十、何百種類もあるし同じことか。面白いからいいのだ。それにこの飴うさぎなかなかよく跳ねる。人気があってよく売れる。たまにちょっと賢そうな子が、見た目の大きさからツルが一番得だと言う。ツルのタッパは確かに高いけど、元の飴の大きさはみんな一緒


ゾウの巻

ゾウの飴画像

「あぁ~遅っそいよ~」
最初は何のことか分からなかったが、順番待ちの子ども達に必死に飴をつくる自分にこの自転車の男の子は言ってるらしい。スピードは確かに遅いけど1個1個丁寧につくりたい。『つくる方は百個でもお客さんには一個』と何かの職人が言ってたのだ。男の子は「遅いよ遅いよ~」と何度も言ってる。順番の列を何とかこなしながらちょっとその子を気にしていたら何となく理由がわかってきた。何か習い事があるらしい。もう行く時間で待っていられないようだ。さっきからずっと自転車にまたがったまんまだし声も泣きそうな調子になってきた。「遅いよ~」もそんな状況に言ってるのだ。

「間に合うかな?えっと次の子は白のウサギとゾウ青ねっ」とやってるうちにその子のことはすっかり忘れてしまった。なにしろ余裕が無い。「今日はスイミングの日だけど急いで自転車で買いに来れば間に合う!」なんて子もいるが、急いで事故なんか遭わないでおくれよ。またいつかどっかで会えるよ。

ゾウはなんと言っても大きい鼻。思いっきり鼻にボリュームをもって行き過ぎてそれだけっていう失敗を何度か繰り返してうまいことバランスが取れるようになった。鼻→耳→手足→しっぽの順でつくっていくが、耳のつくり方に新テクニック。挟んだ飴をぎゅっと横に引っ張り出して指でつぶして広く平らにする。左右バランスよく出来ればあとは太目の手足とかわいい尻尾をつけて出来上がり。

よっしゃ王様級の動物ゾウを覚えたぞ。でも百獣の王はライオンか? いやいや優しい強さの方が好きなのだ。


トラの巻

トラの飴画像

ニューヨーカーのキャシーさんがこのアメ細工を見てこんな感想を送ってくれました.

I am AMAZED at the "candy art" that you sent me.
I have never ever seen anything like it in my life.
"Amezaiku" - WOW! And your tiger!!!!
When I first looked at the photo - before I read your words -
I thought it was some kind of yellow stone….like yellow jade.
It is fascinating! Can I ask a stupid question?
Does anyone ever EAT those creations? They really look "too good to eat!"

嬉しいことをおっしゃる.でも子どもは意外とすぐ食べちゃうんですよね.パクッと.
子どもには'あめ'は'あめ'ってことのようです.